このサイトでは息子が「咽頭軟化症」と診断されるまでの経緯やその時感じた気持ちを、パパ目線でなるべくリアルにお伝えしていきます。
ちょうど1年前、息子の気になる症状をどれだけ調べても、なかなか「咽頭軟化症(いんとうなんかしょう」のことが書かれたサイトへたどりつくことができず、とても不安な思いをしました。
当時原因がわからないまま似たような症状で検索していると、あるサイトのこんな記載が目にとまります。
基礎疾患といってもその症状にはいろいろあるようで、中には「染色体異常」や「知的障害」も含まれていました。
さらに不安が拡大したのはいうまでもありませんが、当時「何が起きても全てを受け入れる覚悟」は妻共々できていたように思います。
それでも妻を中心に、家族で精一杯のサポートを続けた結果、今では本当に「咽頭軟化症」だったのかと思えるほど大きな子に育ち、毎日元気に保育園に通っています。
子供の状態、基礎疾患、おかれた環境などさまざまな要因が複雑にからみあい、治療をすれば必ず完治する。というものではないようです。ただこの記事を読まれた人が、1日でも早く診察に行こう!そう思うきっかけになってくれたなら、これほど嬉しいことはありません。
呼吸器内科の先生が書かれた文献にも、「早期の診断がより適切な治療を可能にする」といった記述もあります。
喉頭軟化症は成長で自然軽快するものから,積極的介入を要するものまで重症度の幅がひろい。早期に診断を行い継続的に経過を追うことで,より適切な管理・治療の選択が可能になる。
引用:喉頭軟化症の診断と治療より
それでは息子が咽頭軟化症と診断されるまでの経緯を時間軸に沿って書き記しています。
はじめは出産後すぐのこと
出産後、はじめて我が子と同室で寝たときのこと。
我が子ですから、愛おしくかわいく見えるのは当然ですが、寝顔を見た時に妻はこう思ったそうです。
なんで口を開けて寝てるんだろう
詳しくは後述しますが、この時妻が感じたこの違和感こそが「咽頭軟化症」にたどりつくきっかけとなりました。
退院後も以下の症状が気になります。
呼吸の音
どんな音かは実際に聞いてもらうのが一番わかりやすいと思います。下の動画はミルクを飲み終えたあとのこと。今聞くととても苦しそうなのに、当時は「こういうものなのかな・・」という気持ちもあったように思います。
喘鳴(ぜんめい)
少し離れた場所でもヒューヒュー、ゼーゼーと音が聞こえることありました。
ミルクを飲んだ後は喉から「ゴロゴロ」といった音が聞こえることも・・。
寝ている時のいびき
息子の場合は、口呼吸で起こる「いびき」でした。
基本的に赤ちゃんは「鼻呼吸」です。成長とともに肉付きが良くなることでおこる鼻呼吸の「いびき」の場合は、大半が正常であることが多いようです。
鎖骨の間のくぼみが呼吸をするだけで凹む
ふつうに呼吸をしている時は、それほど凹んだり、ふくらんだりしないですよね。全身の力を使って、精一杯の力で呼吸をするので、このような現象が起きていたようです。
ミルクののみが悪く体重が増えない
当時、ミルクは飲んでいたものの飲む量が少なく、体重も増えていないようで心配になりました。
この「体重が増えない」ということも咽頭軟化症に気づく重要なポイントでした。
のちに看護師さんから聞くことになるのですが、これを知った時はとてもショックでした。それだけ息子にとっては「呼吸」をすることが命がけだったわけですね。
こんな「あせり」が出てきました
こんな不安を感じ始めたころ、ちょうど1ヶ月検診があるというので、そこで先生に相談してみよう!ということになりました。
時間が経ってしまったのは、どこか無意識で「うちの子は大丈夫」なんてことを思っていたように思います。少しでも不安があるなら、すぐにでも診察をしてもらうべきだと今では強く感じています。
1ヶ月検診で先生に相談
これらの検診を受け、
もちろん妻は納得していませんでした。
呼吸の状態に違和感がある以上、ちゃんと調べてほしい!
先生にそう話をしたところ、
大学病院の紹介状を書くので、そちらに相談してみてください
妻の想いが届いたようで、大学病院でさらに精密検査を受けられることになりました。
いざ大学病院へ
先生の判断は早く、すぐに精密検査をしてくれることになりました。
大きな大学病院内をぐるぐると回り、たくさんの検査を行いました。
異常なし!!僕は声をあげて喜びましたが・・・
当然、妻は納得していません。
だって「異常なし」ならなんでこの症状が出てるの?!
妻はどうしてもこの点が腑に落ちない様子でした。
改めて先生に相談しましたが、
精密検査と言っても、ここでは喉の奥までは検査ができません。
そこで僕たちの様子をみかねた先生が、こんな提案をしてくださいました。
もしこれ以上の専門的な検査を望むなら、新生児の呼吸器内科専門の先生を紹介しましょう。名医と呼ばれる先生なので、数ヶ月待ちになると思いますが・・
妻はかぶせるように
お願いします!
と2つ返事。
そんな経緯で呼吸器内科の名医に診てもらえることになったわけですが・・・その場所は同じ大学病院ではなく、都内にある東京女子医科大学東医療センターになるとのことでした。
出産に立ち会った時は、妻を神様だと感じたものですが(笑)、その1ヶ月後に、またも妻の底知れぬ強さを垣間見るなんて想像もしていませんでした。母はすごい!
紹介先の病院
東京女子医科大学東医療センター
【東医療センター初診予約電話番号】
(初診予約専用)☎ 03-6807-6360
まずは診察の予約
ご紹介していただいた名医(H先生)に診てもらうには、どんな症状なのかを確認する必要があるとのこと。まずは東医療センターの呼吸器内科のS先生に診てもらうことになりました。
このS先生の診察予約はとてもスムーズでした。さっそく2日後に診てくれるというので、まずは妻が1人で行くことに。
これが診察の時にS先生が説明しながら書いてくださったメモ書きです。
妻いわく、このS先生は終始、親切丁寧に説明してくださってとてもわかりやすかったとのことでした。
まだ新生児ということと、先天性で「気道の一部が狭い」可能性があるということで、H先生による、気管ファイバー検査をしていただけることになりました。
ファイバー検査は2週間後。妻が予約を取り、その日は息子と共に帰ってきました。
その後、妻とも相談し、2週間後の検査はパパが1人で行くことになりました。「平気だよ」と言いつつも、内心はもう不安で不安でたまりません。
検査当日
30数年の人生の中で名医といわれるような先生に出会うことも、もちろん診察をしてもらうことも、初めての経験です。待合室で不安と緊張が頂点に達している時、「〇〇さ〜ん」と名前が呼ばれました。
この時息子は、全身麻酔を打つということで先に処置室に入っていました。
深呼吸をして処置室のドアをあけます。するとはじめに目に飛び込んできたのは20名以上にもなる関係者の方々、そしてその中心にいたのが診察台に寝かされた息子でした。
今から何が行われるのかと、心臓の音が聞こえるぐらいドキドキしていたのを覚えています。
処置の流れは、こんな感じでした
息子に馬乗りになり、鼻からファイバースコープを入れる姿を目の当たりにすると。
僕の手からは大量の汗がにじんできます。
そうこうしている間に、ファイバースコープを使った検査は5分程度で終了。いよいよ先生からの説明です。
おねがい。何もないでくれ。そんな言葉が頭の中を駆けめぐります。
先生は淡々とこう言いました。
もちろん。その時はじめて耳にする言葉でした。
あれほど検査して、異常なしと言われたのに病名があるの?!と動揺したのを覚えています
すぐさま先生に問いかけます。
先生!息子は大丈夫なんでしょうか!と。
すると先生が軽快に。
先生がさらっと返してくれたその言葉を聞いた瞬間。目頭があつくなり、肩の力が抜け、息子のあれやこれやを詰め込んだリュックの重さを全身で感じたのを覚えています。
そこからは徐々に冷静さをとり戻し、先生の説明が耳に入ってきました。
これらについてやさしい口調で、むずかしいところは図に書いて丁寧に説明してくださいました。
実際に先生が書いてくださった当時のメモ書きです。
検査当日は1泊(予定)
先生に検査をしていただき、咽頭軟化症と診断されたわけですが、まずは普段の生活のまま自然治癒を待つのか、それとも呼吸器マスクを使用する必要があるのか、一晩様子をみるとの話がありました。
酸素飽和度とは、動脈血のヘモグロビンのうち何%が酸素と結合しているかを表したもの。健康であれば99%に近い値になるそうです。
このサチレーションが正常であれば、呼吸器も入らずに普通の生活ができるというお話だったので、無意識に期待をしてしまいました。
が、結果はというと・・・
なんと昨晩の間だけで、70%台になるときもあるとのこと。
こんなに不安定な状態だったことに衝撃を受けたのを覚えています。
この結果を受け、息子は呼吸器マスクをつけることが確定。
同時に、ここから1週間の入院も決まりました。
(つづき:▶︎咽頭軟化症治療は入院からのスタートでした)
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